結論から言うと、パソコン・AIスクール「SCROOM」の公式サイトは、WordPressを通常運用から外し、静的サイトと独自CMSを組み合わせた構成へ移行しました。

いわゆる「脱WordPress」ですが、WordPressが悪いから捨てたわけではありません。古いNEWS 202記事、21ページの一覧、画像、URL、問い合わせ、検索向けの情報を残しながら、SCROOMに必要な更新機能だけを作り直した、という方が正確です。

新しい独自CMSでは、記事の下書き・即時公開・予約投稿、画像配信、コメントの承認管理、NEWS一覧、トップページ、RSS、サイトマップの更新まで扱えます。本番切替後は702項目を自動検査し、失敗0を確認しました。

この記事では、何を新しく作ったかだけでなく、過去の記事や検索評価を失わないために何を残し、どこを切り替え、なぜ戻せる状態を用意したのかを紹介します。

WordPressをやめた理由は「WordPressが危険だから」ではない

最初に、誤解のないように書いておきます。

WordPressは、世界中で使われている便利なCMSです。テーマやプラグインが豊富で、複数人が記事を頻繁に更新するサイトには今も有力な選択肢です。私も長く使ってきたからこそ、その便利さは分かっています。

今回構成を変えた理由は、SCROOMの新しいサイトで必要なことが、はっきりしてきたからです。

  • 固定ページは、表示が軽い静的HTMLを中心にしたい
  • 日々更新するのは、主にNEWS記事
  • 予約、コメント、問い合わせ、学習システムを自分たちの運用に合わせたい
  • 過去記事と検索から来るURLは失いたくない
  • 管理画面は、実際に使う機能だけに絞りたい

汎用的な機能を増やすより、SCROOMの更新方法に合う小さな管理画面を持つ方が運用しやすいと判断しました。

つまり、目的はWordPressをやめることではありません。サイトの役割と更新する人に合わせて、必要な仕組みを選び直すことです。

リニューアルで一番怖かったのは、デザインではなく「過去を消すこと」

新しいホームページを作るだけなら、見た目を整えてファイルを入れ替えれば完成したように見えます。しかし、長く運営したサイトには、表から見えにくい資産があります。

  • 検索結果に登録されている記事URL
  • 他のサイトやSNSから張られたリンク
  • 過去の記事本文とサムネイル
  • Googleが理解するcanonicalや構造化データ
  • RSSを読んでいる仕組み
  • 問い合わせフォームや予約への導線

SCROOMには、旧WordPress由来のNEWS 200件と、移行中に橋渡しした2件がありました。合計202記事、NEWS一覧は21ページです。

ここを雑に切り替えると、検索結果から訪れた方が404ページへ着いたり、過去の画像が消えたりします。せっかく積み重ねた記事が、リニューアルをきっかけに読めなくなる可能性があります。

そこで、先に「新しく作るもの」ではなく、残すURL・記事・画像・機能の台帳を作りました。

202記事を残すために、変えたものと残したもの

移行では、全部を新しくするのではなく、役割ごとに判断しました。

対象対応理由
旧NEWS 202記事静的HTMLとして引き継ぐ過去記事と検索流入を守る
記事の正規URL移行台帳で固定するURLが変わり続ける事故を防ぐ
旧URL必要なものは301転送する検索結果や外部リンクから新URLへ案内する
旧記事の画像静的な画像として継続配信する記事内の写真を消さない
NEWS投稿独自CMSへ切り替える必要な投稿機能だけを使いやすくする
コメント専用テーブルと承認画面へ移すWordPressなしでも会話を残せるようにする
問い合わせ専用フォームで継続する無料体験・相談の窓口を止めない
WordPress本体実行入口を停止し、当面は復旧用に保持する問題時に戻せる余地を残す

「脱WordPress」と言っても、旧画像まで一度に削除したわけではありません。現在も旧記事で必要な画像は、プログラムを実行しない静的ファイルとして配信しています。

また、旧WordPressのファイルとデータベースは、切替直後にすべて消していません。公開側からWordPressを動かす入口は止めつつ、緊急時のロールバック用として当面保持しています。

一気に消すことより、問題なく新システムが動くことを確かめてから段階的に整理する方を選びました。

URL・canonical・301転送を先に設計した

検索対策で大切なのは、キーワードを増やすことだけではありません。以前のURLへ来た人が、今も正しい内容へたどり着けることが土台になります。

今回の移行では、記事ごとに旧URLと新しい正規URLの対応を記録しました。記事ページにはcanonicalを設定し、移動が必要なURLには301転送を用意しています。

ただし、何でもトップページへ転送すればよいわけではありません。内容が違うページへ一律に送ると、利用者にも検索エンジンにも分かりにくくなります。新しい関連ページがあるものはそこへつなぎ、残す価値がある記事は記事として維持する、という判断が必要でした。

検索順位を必ず維持できると断言することはできません。それでも、URL、本文、画像、canonical、サイトマップを一つずつ確認しておくことで、移行による不要な損失を減らせます。

静的サイトでも記事を更新できる独自CMS

固定ページを静的HTMLにすると、「もう記事を投稿できないのでは」と思われるかもしれません。

そこで、NEWSに必要な更新機能だけをPHPとMySQLで作りました。現在の管理画面では、次の操作ができます。

  • 記事の下書き、編集、公開
  • 日時を指定した予約投稿
  • メイン画像と本文画像のアップロード
  • 記事ごとのコメント受付設定
  • 承認待ちコメントの確認、承認、非表示、スパム処理
  • NEWS一覧、トップページ、RSS、サイトマップの再生成
  • AIで作成した記事パッケージを受け取る投稿API

未来の公開日時で保存した記事は、10分ごとの軽い確認処理が公開時刻を迎えた記事だけ検出します。対象がない回は、記事HTMLを作り直しません。予約記事があるときだけ、記事、一覧、トップ、RSS、サイトマップを同じ状態へ更新します。

画像はNEWS専用の保存先へ置き、記事データと結び付けます。これにより、WordPressのメディア管理を使わず、新しい記事のサムネイルや本文画像を配信できます。

コメントはハンドルネームと本文だけで投稿でき、すぐには公開されません。すべて承認待ちへ入り、内容を確認したものだけを表示します。返信も一階層に限定し、個人情報を書かない注意も表示しています。

必要な機能を自分たちの運用に合わせられることが独自CMSの利点です。一方で、認証、入力検査、迷惑投稿対策、バックアップ、保守を自分たちで続ける責任もあります。

702項目を検査し、失敗0を確認した

「画面が表示された」だけでは、移行成功とは言えません。

最終確認では、旧記事202件と一覧21ページを含め、本番サイトを702項目に分けて検査しました。確認したのは、主に次の内容です。

  • 記事ページが正しいHTTP状態で開く
  • canonicalと構造化データが入っている
  • NEWS一覧から記事へ移動できる
  • 画像が表示される
  • WordPressの実行を前提とする参照が残っていない
  • RSSとサイトマップへ記事が載っている
  • 旧URLの転送先が意図どおりになっている
  • 問い合わせフォームが実際にメールを送れる
  • PCとスマートフォンで主要な特殊ページが使える

結果は702項目、失敗0でした。

それでも「今後絶対に問題が起きない」という意味ではありません。新しい記事を投稿した後、予約公開した後、コメントやフォームを変更した後にも確認を続ける必要があります。

そのため、公開前のファイル、データベース、画像をバックアップし、問題が起きたときに戻せる手順も残しています。バックアップは作るだけでなく、「何を戻せばよいか」が分かることが大切です。

教室用LMSを作った経験も、今回の独自CMSにつながった

SCROOMでは、このサイトより前から、予約・教材・月謝・受講回数・学習履歴をまとめる教室用LMSを作り、実際の運用に合わせて改善してきました。

その過程で学んだのは、システムは機能数ではなく、「誰が、いつ、何を更新し、次にどこへ反映するか」で設計するということです。

NEWSでも同じです。記事を保存するだけでなく、一覧、トップ、RSS、サイトマップ、画像、コメントまで一続きで考える必要があります。

教室用LMSを企業の勤怠情報、社内研修、設備予約などへ置き換える考え方は、AIでLMSを自作した実録で詳しく紹介しています。

WordPressを続けた方がよいサイト、独自構成が合うサイト

すべてのサイトに脱WordPressを勧めるつもりはありません。

WordPressを続ける方が合いやすいケース

  • 複数の担当者が毎日多くの記事を更新する
  • 既存プラグインの機能を幅広く使っている
  • 汎用テーマで短期間に立ち上げたい
  • 社内や保守会社にWordPressの運用経験者がいる

静的サイト+独自CMSを検討しやすいケース

  • 更新箇所がNEWSや事例などに限られている
  • 固定ページは軽く安定して表示したい
  • 予約、会員、教材、商品、社内業務など固有の仕組みとつなぎたい
  • 管理画面を、担当者が使う項目だけに絞りたい
  • 既存URLと記事を守りながら段階的に移行したい

独自CMSなら必ず安全になるわけでも、安くなるわけでもありません。必要な機能、更新頻度、予算、保守する人を確認し、WordPressを続ける場合も含めて比較することが大切です。

企業や個人事業のホームページへ応用できること

今回作ったものは、SCROOM専用のNEWS管理画面です。しかし、移行で使った考え方は、他のサイトや業務にも応用できます。

  • 過去記事、画像、URLを調べる移行台帳
  • 既存ページを残した段階的なリニューアル
  • 予約投稿と画像配信を備えた小さな更新画面
  • お客様の声や感想を承認して掲載する仕組み
  • RSS、サイトマップ、構造化データの自動更新
  • 問い合わせ、予約、会員機能との接続
  • 公開前検査と、問題時に戻せるバックアップ

「ホームページを新しくしたい」という相談でも、本当の悩みは、更新できない、予約が電話だけ、画像の管理が大変、古い記事を消せない、といった運用側にあることがあります。

SCROOMの事業者向けIT・AI支援では、ホームページだけでなく、予約システム、LMS、動画配信、業務改善を含めて紹介しています。実際の制作例は制作実例、一般的なホームページ制作の内容はWeb制作からご覧いただけます。

よくある質問

WordPressのファイルは、すぐに全部削除したのですか?

いいえ。公開側からWordPressを実行する入口は止めましたが、切替直後は緊急ロールバック用として旧ファイルとデータベースを保持しています。旧記事で使う画像も、静的ファイルとして配信を続けています。安定運用を確認しながら、不要な部分を段階的に整理します。

静的サイトでも予約投稿や画像アップロードはできますか?

できます。SCROOMでは、独自CMSへ記事と画像を登録し、未来日時なら予約状態で保存します。公開時刻を迎えた記事だけを確認処理が反映し、NEWS一覧、トップ、RSS、サイトマップも更新します。

コメント機能はWordPressなしでも動きますか?

動きます。コメントはWordPressとは別の専用テーブルで管理し、投稿された内容はすべて承認待ちになります。管理者が確認して承認したコメントだけを公開します。

WordPressから移行すれば検索順位は上がりますか?

構成を変えただけで検索順位が上がるとは限りません。表示速度、記事内容、内部リンク、検索意図との一致なども関係します。移行時には、旧URL、301転送、canonical、本文、画像、サイトマップを守り、不要な下落を避けることを優先します。

今のサイトを残したまま、どこまで改善できるか相談できます

WordPressをやめる前提でなくても構いません。

現在のURL、記事数、更新方法、困っている作業を確認し、「残すもの」「変えるもの」「今は触らないもの」から整理します。サイト全体ではなく、予約だけ、投稿画面だけ、問い合わせ後の作業だけを改善する方法もあります。

作り直す前に、残すものから整理します。

今のサイトを残したまま改善できるか相談する

事業者向けIT・AI支援の内容を見る