AIで作った画像や文章を、ホームページ、SNS、チラシに使う場面が増えました。以前なら「きれいに作れた」で終わっていたところに、もう一つ考えたいことがあります。それは、見る人が人が作ったものなのか、AIを使ったものなのかをどう受け取るかです。
欧州委員会は、2026年8月2日から、AIとのやりとりや特定のAI生成・加工コンテンツに関する透明性の考え方を示しています。日本で同じ制度がそのまま適用されるという話ではありません。ただ、事業者や発信する側にとって「AIを使ったことを隠すより、分かりやすく伝えた方が信頼につながる」という流れは、これから無関係ではいられません。
まず知っておきたいのは「AIを使った=悪い」ではないこと
AIを使って文章のたたき台を作る、写真の明るさを整える、イラストを作る。こうした作業そのものが悪いわけではありません。大切なのは、実在しない人物の声や写真を本物のように見せたり、事実と違う内容をもっともらしく伝えたりしないことです。
たとえば、教室の案内に使うイメージ画像なら「画像はイメージです」と添える。AIで作成した説明文なら、事実・料金・日程・固有名詞を人が確認してから公開する。このひと手間があるだけで、便利さと信頼を両立しやすくなります。
発信前に見る3つの確認ポイント
1. 本物に見える素材ほど、説明を足す
人物の写真、店内の様子、商品を使っている場面などは、見る人が実写だと思いやすい素材です。AIで作ったイメージなら、投稿本文や画像の近くに「AI生成イメージ」「イメージ画像」と短く書くのがおすすめです。長い注意書きにする必要はありませんが、誤解を招かない置き方を考えます。
2. AIの文章は、数字と固有名詞を必ず読み直す
AIは自然な文章を作れても、料金、日時、商品名、制度の条件まで正確とは限りません。特に「期間限定」「無料」「対応可能」といった表現は、事実を確認せずに出すと困ります。公開前に、元の資料と照らし合わせる担当を決めるだけでも事故は減らせます。
3. 人の体験談に見せない
実際のお客様の声や利用例は、本人の了解と事実確認が必要です。AIで作った架空の感想を、本物の口コミのように載せるのは避けましょう。どうしても会話例を使いたい場合は、「相談イメージ」「架空の例」と分かる形にします。
小さな事業でも、先にルールを一つ決めておく
難しい社内規程を最初から作らなくても大丈夫です。まずは次の三つだけで十分です。
- AIで作った人物・風景の画像は、必要に応じて「イメージ」と示す
- 公開する前に、数字・固有名詞・リンクを人が確認する
- お客様の情報や社内資料を、そのままAIへ入れない
このルールなら、個人事業や小さな教室でも続けやすいはずです。使うたびに不安になるより、「ここはAIに頼む」「ここは自分で確認する」の境目を先に決める方が、発信も速くなります😊
公開直前に30秒でできるチェック
投稿ボタンを押す前に、画面を少し離れて見直すだけでも、発信の印象は変わります。次の項目を順番に見てみましょう。
- 画像の人物や場所は実在だと誤解されないか。 実写風の素材なら、イメージであることを補足します。
- 見出しが内容を大きく言い過ぎていないか。 「必ず」「誰でも」「完全に」といった言葉は、根拠があるときだけ使います。
- 料金・日時・リンクは正しいか。 AIが作った文章でも、ここは元の資料や公式ページを開いて確認します。
- 自分が説明できない内容を入れていないか。 質問されたときに答えられない表現は、一度削るか書き直します。
この確認は、AIを使わない投稿にも役立ちます。便利な道具を増やすほど、最後に人が見る場所を決めておくことが、結果的に発信を安定させます。
「表示する」ことは、作品の価値を下げない
AIを使ったと書くと、価値が下がるのではないかと心配する方もいます。でも実際には、どんな意図で使ったのか、どこを自分で仕上げたのかが見える方が、受け取る側は安心しやすいものです。たとえば「アイデア出しにAIを使い、最終原稿は内容を確認して作成」と添えれば、使い方の丁寧さも伝わります。
発信の目的は、AIを使ったことを誇ることではありません。読む人に正しく伝わり、次の行動につながることです。AIを使うほど、相手の受け取り方まで考える。その姿勢が、これからのデジタル発信では大きな差になります。
AIを使うことより、説明できる使い方を選ぶ
これからは、AIを使ったかどうかだけでなく、「どこに使い、誰が最後に確かめたか」を説明できることが大切になります。AIに任せた部分があっても、公開する責任までAIに渡すことはできません。
SCROOMでは、文章、画像、資料づくりなどをAIで進めながら、確認すべきところを自分で見つける練習も大事にしています。便利な機能を知るだけでなく、安心して使い続けるための線引きも、一緒に身につけていきましょう。
参考:European Commission: AI transparency obligations。本記事は日本での法的義務を解説するものではなく、発信時の実務的な確認ポイントを紹介するものです。
