「レジは、お店に合う製品を探して買うもの」。私も以前はそう考えていました。でも、実際の業務に当てはめると、あと少しだけ足りないことがあります。SCROOMの場合は、会計した金額だけでなく、どの生徒さんの、何月分の、どの商品を受け取ったのかまで教室の管理システムへつなげたい。市販のレジに教室側の運用を合わせるより、必要な流れを自分たちで作るほうが自然でした。

そこで今回、AIを開発に活用しながら、Androidスマートフォンで動く独自のPOSレジアプリ「スクルームレジ」を制作しました。画面だけを作った試作品ではありません。現金会計、レシート発行、キャッシュドロワーの開閉、教室のLMSへの売上反映まで、実際の会計で使えるところまで仕上げています。📱

「生徒 → 商品 → 会計」の3ステップ

会計画面は、スマートフォンでも迷わないように、操作を3つに分けました。

1.生徒さんを選ぶ

最初に、会計する生徒さんを選びます。名前・ふりがな・会員IDから検索できるため、人数が増えても探しやすい形です。

スクルームレジの生徒選択画面。個人名は仮名に差し替えています
1.生徒さんを選択。掲載画像の氏名はすべて仮名です。

2.商品を選ぶ

次に、月謝、入会金、割引、追加レッスンなど、登録済みの商品を選びます。SCROOMでは月謝を扱うため、「いつの売上か」だけでなく「何月分の月謝か」も分けて記録できるようにしました。

スクルームレジの商品カテゴリー選択画面
2.業務に合わせて分類した商品から選択します。

3.内容を確認して会計する

最後に、対象者、商品、売上対象月、金額を確認します。現金会計では預かり金額を入力すると、お釣りを自動計算します。よく使う金額をワンタップで入力できるため、小さな画面でも素早く操作できます。

スクルームレジの会計内容確認画面。個人名は仮名に差し替えています
3.内容を確認して会計へ。掲載画像の氏名は仮名です。
スクルームレジの現金受取額とお釣りの計算画面
預かり金額を入力すると、お釣りを自動で計算します。

レシート発行とキャッシュドロワーにも対応

スマホの中だけで会計が終わっても、店舗や教室の現場では十分とは限りません。スクルームレジは、Bluetoothでレシートプリンターと接続します。会計を確定すると、店名、日時、取引番号、商品、合計金額、支払い方法、預かり金額、お釣りなどを載せたレシートを発行できます。

さらに、プリンターを通してキャッシュドロワーも開きます。テスト用の画面ではなく、レシート印刷、用紙のカット、ドロワーの開閉まで実機で確認しました。現在、SCROOMでは現金会計を本番運用しています。🧾

会計後の記録も残ります。取引履歴からレシートを再発行でき、現金会計の取消時は理由を必須にしました。記録を物理的に消さず、誰がどの処理をしたかを追えるようにしています。開店時の準備金、入出金、理論上の現金残高、実際の残高、締め処理の差額も確認できる設計です。

市販レジへ仕事を合わせず、仕事にレジを合わせる

このレジで一番伝えたいのは、「スマホで会計できる」ことだけではありません。事業ごとの仕事の流れに合わせて、レジそのものを設計できることです。

SCROOMでは、会計と同時に教室のLMSへ情報を送り、月謝の支払い状況を更新します。これまでは、レジで会計した後に別の管理画面を開き、誰の何月分かを入力する必要がありました。独自システムなら、この二重入力を一つの操作へまとめられます。

たとえば、次のような業務にも考え方を応用できます。

  • 教室:受講者、コース、月謝対象月、受講状況を連携
  • サロン:顧客、施術メニュー、回数券、次回予約を連携
  • 小売店:商品、在庫、顧客別の取り置きや会員情報を連携
  • 会員制サービス:会員、利用プラン、更新月、入金状況を連携

これは既製品の機能を並べただけではなく、「会計の前後で、現場の人が何を確認し、どこへ入力しているか」から逆算して作る方法です。業種によって必要な項目やルールが違うからこそ、専用システムにする価値があります。

Androidを活用し、導入費用を抑えやすく

専用レジというと、高価な端末一式を想像するかもしれません。スクルームレジはAndroidアプリとして作ったため、条件が合えば、手元のAndroidスマートフォンやタブレットを活用できます。専用のiPhoneやiPadを買い替える前提にしないことで、端末費用を抑えやすくしました。

もちろん、必要なプリンターやドロワー、カードリーダー、開発・設定費用は業務内容によって変わります。「必ず最安になる」とは言えません。ただ、不要な機能や高価な端末へ合わせるのではなく、必要な機能と既存機器を整理し、小さく始められる構成を選べるのは大きな利点です。

Stripeによるカード決済にも対応できる設計

カード決済については、現在SCROOMで使っているわけではありません。ただし、Stripe TerminalのAndroid SDKを組み込み、カードリーダーと連携できるところまで実装しています。

想定している流れは、LMS側で決済情報を作成し、Androidアプリとカードリーダーでカードを読み取り、Stripeで処理した結果をLMSが再確認してから売上を確定する形です。二重決済を防ぐ識別子や、返金が成功してから取消記録を反映する処理も用意しています。Stripeの秘密情報をAndroidアプリ内へ保存しない設計です。💳

ただし、現時点ではカードリーダーを購入しておらず、実カードでの少額決済・返金テストは未実施です。そのため、正確には「カード決済を本番運用中」ではなく、「導入できるところまで実装と準備が進んでいる」状態です。本番導入時は、対応機器の選定、Stripe側の設定、実機テストを行います。

Stripe公式資料でも、TerminalはAndroid向けSDKと認定カードリーダーを使い、既存のPOSへ対面決済を組み込んだり、事業に合わせたPOSを構築したりできる仕組みとして案内されています。

AIは、文章を作るだけの道具ではない

SCROOMでは、AIをブログや資料作成だけでなく、要件整理、設計、プログラム作成、エラー調査、テスト項目の洗い出しにも使っています。しかし、AIに「レジを作って」と一言伝えただけで完成したわけではありません。

実際の会計を観察し、必要な操作を決め、個人情報や決済情報をどこで扱うかを分け、プリンターとドロワーを実機で試す。AIの提案をそのまま採用せず、現場で動くまで人が確認して直す。その積み重ねが、今回のスクルームレジです。

AIをうまく使うと、小さな事業者でも「既製品に業務を合わせる」だけでなく、自分たちの仕事に合う道具を作る選択肢が現実的になります。今回の開発は、その具体例になりました。

「こんな仕組みを作れないか」からご相談ください

SCROOMでは、Androidアプリだけを売るのではなく、実際の業務を確認し、必要な画面、データ、既存サービス、周辺機器まで含めて仕組みを考えます。

「同じ内容を何度も入力している」「市販システムではあと一歩足りない」「AIを使いたいが、何を自動化すべきか分からない」。そうした段階からでも大丈夫です。レジ、予約、会員管理、教材配信、集計、通知など、小さな業務から整理します。

今回のレジのように、現場に合わせた専用システムを作れることが、SCROOMの技術力です。まずは、今いちばん時間がかかっている作業を教えてください。事業者様向けのご相談は、こちらのページから受け付けています。😊

参考情報